ガッツでアキレス腱の病気は治るの?
スポーツに真剣に取り組めば取り組むほど、アキレス腱炎やアキレス腱断裂など、アキレス腱にまつわる病気が多発するようになります。
そんな中、日本では近年までプロスポーツや実業団のスポーツの世界でも、『根性と練習、そして実践経験は何物にも勝る!』という精神論・ガッツ至上主義の指導者や解説者、関係者が多くみられます。
確かにスポーツの試合でも、「ガッツ」や「絶対に勝ちたい」という気持ちが、勝敗を左右することもありますが、アキレス腱に問題を抱えていても、本当にガッツで乗り越えられるものなのでしょうか?
ガッツなどの精神論とアキレス腱の病気について、考えてみました。
<ガッツなどの精神論でアキレス腱は治るのか?>
何らかの医学的・科学的知識の下、きちんとした指導者について行っているのであれば、アキレス腱に問題があったとしても、確かに運動しながら治す、ということは可能です。
ただ、それは「医学的・科学的な知識がある」場合であって、素人の判断で出来るものではなく、ガッツだけを頼りに指導なしで行うと、必ずアキレス腱の問題を更に悪化する結果になってしまいます。
多くの場合、アキレス腱に問題を抱えた足を庇おうとしてスポーツを続ける為、反対側の足に極端な負荷が掛かり、反対側の足のアキレス腱を断絶してしまったり、却って治療期間が伸びてしまうこともあるようです。
一旦アキレス腱が断裂してしまうと、ガッツでアキレス腱がくっつく訳ではありませんので、却って頑張っていたスポーツから遠ざからざるを得なくなってしまいます。
ガッツを見せてスポーツを頑張ることは、とても素晴らしいことではありますが、アキレス腱に問題を抱えた時は安静にし、少しでも早く治すことを一番に考えましょう。
<スポーツとガッツの功罪とは>
先程も記載したように、スポーツでガッツを見せること、メンタル面で闘争心を燃やす事は、決して悪いことではありません。その結果として優勝やメダルなど、栄冠に輝くことは素晴らしいことです。
しかも、スポーツをしている当人がガッツを重んじ、信念に基づいた行動をすることは、アキレス腱に問題を抱えようが当人の自由であり、自己責任ともいえます。
ただ、学校教育の場や、プロスポーツや実業団スポーツにおいて、責任者がガッツ至上主義で、アキレス腱に問題がある選手に対しても強要することは責任問題になります。
特に1960年代〜1980年代にかけては、医学的知識も根拠もない上、理不尽で暴力的な行為を繰り返す監督により、健康被害を受ける選手が続出して、管理責任を問う裁判が起こされるなど、社会問題になったようです。
現在でも、高校の部活において、監督による無茶なガッツを要求する指導により、自殺に追い込まれたり、アキレス腱を断絶するなど被害が報道されることもしばしばです。
「死ぬ気で努力する」とか「怪我はガッツで治す」などというのは、メンタル面で持つことは結構ですが、実践してはダメなのです。
怪我をした場合は治療する、日常的には当たり前なことが、ことスポーツになってしまうと忘れられてしまうこともあることを、スポーツする方は頭の片隅に置いておく必要がありそうです。