アキレス腱反射から、病気が分かるの?
『アキレス腱反射』という言葉をご存じですか?アキレス腱反射とは、アキレス腱を軽くたたくと、足が底屈(=ていくつ。関節を足底方向に折り曲げる運動の向きのこと)する、というアキレス腱反射のひとつを言います。
昔、椅子に座って膝を叩くと、足が前方に伸びるかどうかで「脚気(かっけ)」かどうか、調べたことがあるかもしれませんが、あの要領です。
このアキレス腱反射で隠れている病気が分かるそうですが、そもそもなぜ、アキレス腱反射は起きるのでしょうか?見てみましょう。
<アキレス腱反射はどうして起こるの?>
人の体は、突発的な外部からの力が加わると、筋肉組織が損傷することを防ぐ為に、あらゆる反射反応をするそうです。いわば体の「防衛反応」といえます。
このスピードは命や筋肉組織を守る為に、普通の神経経路よりも高速で処理され、素早い反応を示します。この反射のお陰でつま先をぶつけた時、とっさに足を引っこめたり、熱い物に触れた時、とっさに手を引く動作になるのです。
上記のように、アキレス腱反射は、アキレス腱やその周辺の筋肉組織を守るために、高速で行われる反射反応と言えます。
<アキレス腱反射の検査方法とは?>
それでは、アキレス腱反射の検査方法を見てみましょう。
1.患者さんは仰向けになり、両足を外側に少し回転させ、両方の踵(かかと)を体の中心線でくっつけます。お医者さんは、足の甲を少し後ろに反らせます。
1.「打腱器」と呼ばれる専用の器具(=ゴム上のハンマー)を用意します。
2.アキレス腱下部の踵(かかと)から上3〜4cm部分を直接叩き、反応を確認します。(両方の足を行います)
注)場合によっては、反射が完全喪失している場合があるので、反応がないからといって、過度に叩くことは止めましょう。また、あまり強い力で叩かず、「コツン」くらいで大丈夫です。
アキレス腱反射の検査を行う際、以下のポイントを観察します。
1.量的変化(過剰に反応が起きているか、反応が悪いか、全く反応がないか)
2.質的変化(筋肉の収縮のスピードはどうか、広がりはどうか)
3.左右の反応の差はあるか
注)患者さんの緊張によっては判定が狂いますので、患者さんにはリラックスして検査をするよう促しましょう。
<アキレス腱反応から分かる、病名とは?>
それでは、検査結果から、どのような病気が隠れていそうか、見ていきましょう。
1.過剰に反応が起きている場合:人の脳には、数百億個の神経細胞があり、それらの神経細胞はシナプスと呼ばれる接合装置を使って情報伝達ネットワークを作り、脳の働きを体に伝達しています。
しかし、このシナプスの伝達が機能せず、脳の神経経路の異常が見られるとき、このような過剰に反応が起きることがあります。
2.反応が悪い場合:脊髄神経の異常、または、筋肉そのものの異常の可能性があります。
3.反応が全くない場合:反応が悪い場合と同様、脊髄神経の異常、または筋肉そのものの異常の可能性があります。また、元々神経系に異常がある場合も反応がありません。