アキレス腱周囲炎とは?
『アキレス腱周囲炎』という言葉をご存知ですか?
スポーツをやっている方だと馴染みがある症状のようですが、中高年になると、なんとスポーツ以外でも発症してしまうそうです。
一体『アキレス腱周囲炎』とは、どのような症状なのでしょう?
<アキレス腱周囲炎って、なに?>
アキレス腱周囲炎とは、足首の後ろ部分にあるアキレス腱の周囲が、腫れたり、痛みを感じたり、更に進むと血行障害が発生し、しこりが現れることを言います。
アキレス腱周囲炎という炎症が起きるのは、主にアキレス腱と踵(かかと)の骨の間で、クッションの役目をしている滑液包という袋の部分(よく靴ずれを起す箇所でもあります)で炎症が起きる為だと言われています。
この滑液包という袋の部分の炎症が、足の皮膚に起きた場合は「靴づれ」という症状になり、炎症が足の内部で起きた場合はアキレス腱周囲炎になるという訳です。
アキレス腱周囲炎の初期段階では、安静時には痛みはないものの、運動開始時の痛みが強くなりますが、しばらく我慢して運動を続けていると痛みが和らいでくるそうです。
ただ、症状が進行してくると、運動中や運動後でも痛みが取れなくなり、アキレス腱周辺が腫れ、触ると強い痛みを感じ、最悪の場合、歩くことすら困難になることがあるようです。
アキレス腱周囲炎は、症状が進行すると足関節を動かす際、ギシギシと軋むような音が聞こえる場合もあるようです。アキレス腱周囲炎は、治っても再発しやすく、慢性化するとやっかいです。
痛みや腫れなど、自覚症状が現れたら、自分の判断で対処せず、なるべく早めに病院での受診をお勧めします。
なお、アキレス腱周囲炎は、単独で発症するというより、アキレス腱炎と同時に発症することが多く、どちらであるかを細かく区別することが困難なこともあるようですので、注意が必要です。
<アキレス腱周囲炎は、どうして起きるの?>
アキレス腱周囲炎は、以下の原因が考えられています。
1.スポーツによる、アキレス腱の使い過ぎ
2.加齢による変化のひとつである「腱の変性」
3.不適切なトレーニング方法(スポーツ前の準備運動不足や、片足に過剰な負荷の掛かるトレーニングなど)
4.靴が足に合っていないことや偏平足(へんぺいそく)などの足部変形
5.骨盤が体の前方に移動している人や、足の前方に体重がかかりやすい人(←ふくらはぎの筋肉に大きな負担が掛かり、アキレス腱に掛かる負担も大きくなる為)
<アキレス腱周囲炎に、なってしまったら?>
アキレス腱周囲炎の治療としては、炎症を抑えるためにまずは冷湿布などで冷やし、運動を控え、安静にします。痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤の服用も良いでしょう。
少しヒールのある靴を履いて踵(かかと)を上げたり、衝撃吸収機能のあるインソールを靴に装着したりすると、アキレス腱の緊張が軽減され、痛みが和らぎます。
よくスポーツ選手が試合の為、痛み止めの効果を求め、局所注射をすることがありますが、この注射はアキレス腱の変性や断裂を生じる場合があります。くれぐれも医師と相談の上、慎重に判断しましょう。
症状が軽くなってきたら、徐々にスポーツを再開することは可能ですが、アキレス腱周囲炎の原因は主にアキレス腱の使い過ぎです。あまり無理をせず、安静に保ってアキレス腱が修復されることを待ちましょう。